息子、ふたたび立つまでの109日間

エンタメマーケッター22年目、経営者12年目、ゆみです。→ゆみのこと

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 何の話って訳じゃないのだけれど。間違っても中年男性の話ではないよ😅

2月2日節分・立春にスキーで骨折をしてしまった息子。そこから実に109日間の療養生活。

立春、入院から東京へ戻り、学校は休み

 スキーで骨折すると地元の病院に入院することになる。スキーで有名な地域であれば東京から来た人が骨折するのはよくあることだそうである。しかし、痛みで泣き叫んで眠れない息子を思うと胸が苦しいけど、私は寝てました・・・。翌日も車の運転があるからね。

 東京の病院の混雑具合を学ぶ。ケガしたり病気したりした場合にどこの病院へ行くか、またはいけるのか?これは大きな違いがあると思いました。いろんな病院にいって、病院にもこんなにも違いや特色があるのだ、客層が違うのだ、ということを先にしっておく必要があります。

 古い校舎の学校にはエレベーターが無いのが結構デフォルトなのである。だから学校へいけないのである。身体が小さい子どもはギブスが重たくて、松葉杖はうまく操作できない。それで筋力が付いて階段の上り下りが出来るまで学校が休み。

 夏休みでもないのに毎日息子が家にいるので親は交代で子どもと終日過ごす暮らしである。

 なんといっても歩けない訳で、こまるのはトイレである。トイレに毎回つれていかないといけない。起き上がれないほど憔悴しきっていた時は、尿瓶である。というかトイレにいくのに時間がかかるので、その前に漏れちゃうので、しばらくは尿瓶である。

 家の中はキャスター椅子

たまたま、自分の部屋用に、柔らかくて黄色いキャスターチェアをニトリで買っていたのだけれど、それがまさか息子の移動手段になるとは夢にも思っていなかった。でもこれのおかげで家の中のちょっとした移動は楽々であった。

雨水のころ、ロータリークラブのおかげ

2月18日 雪が雨に変わり、氷が解け始める時期。ようやく身体も気持ちも落ち着いて、ぼちぼち学校でもいってみっか!という感じである。学校まで歩いて10分くらいなんだけれど、松葉杖で到底歩いて行けるとは思えない。

 車椅子の登場であるが、車椅子っていうのは健康保険で病院から借りたりできないのである。自分で買ったりリースしたりするものだと学んだ。

 そして住んでいる地域の役所で借りることができたのである。それが地元のロータリークラブが寄付してくれたものだったのである。貢献を目的とした成功者たちの慈善クラブである。たまたま、その前にロータリークラブの実態に関する本を読んでいて「面白い世界だなー」と思っていたのだけれど、その活動に感謝したし、なかなか出来ることじゃない、すごい人たちだと思ったのであった。ありがとうございます。ロータリークラブ!

啓蟄にさしかかり、身体も元気に、階段でも上ろう

 とりあえずの保健室登校で始まり、1日1〜2時間程度。ならし運転である。連れて行って、そのまま保健室で一緒に自習、ないしは勉強を教えて、友達や先生たちとおしゃべりして給食前には帰ってくる。そんな状態がしばらく続いた。

 もちろん、親は仕事にならないのだけれど、まあそんなイベントなんだろう、と。まさか子どもと学校で一緒に勉強して先生とこんなに仲良くなるとは思わなかった、という思いがけない出来事である。

 3月5日 冬ごもりしていた虫が地上に出てくる頃。

 給食をたべる時間までいて、それから下校するという日々に進歩。保険室まで友達が交代で給食を届けてくれる。こんな嬉しい経験が出来て、貴重だなと思う。

 とはいえ、クラスの友達全員には会えてない。教室で授業を受けられないまま、いまの学年が終わってしまうのは悲しい、という事態となった。

 じゃあ、ようやく身体も元気になってきて、階段でも上ってみようという訳で3階の教室まで、松葉杖で上るのである。ところが、それはたいしたことではなかったのである。大変だったのは、車椅子の上げ下げの親の方であった・・・。

春分にして春休み

 3月20日、完全に春となり春休みである。出かけられない訳ではないけれどやはりクタクタになってしまうので家にいることが多い。そこで春休みに友達に遊びに来てもらった。これはこれで素敵な思い出となる。

清明にしてギブスがはずれる、体育の授業?

 4月4日 万物が清らかで明るく、春爛漫の時期。

 ギプスから装具という補助器具に切り替わるも、あまり脚に負担をかけないよう階段の登り降りは少なめにと言われる。そこで朝連れてって、迎えにいくまでの間教室で過ごすことに。

そうすると、体育の時間にどうするか?という事件が起きた。見学に降りてくるならかまわないけど、教室に1人待機しているというのは学校で許可が下りず、また学校も人手不足なのでそこをケアできるヘルパーさんもいない。

 ということで親の登場である。親が体育の授業の時に来て、教室で一緒に待機である。結果として、宿題を見てあげられる良い機会となり、私も教室で執筆を行ったり、なんだか不思議な時間となった。

穀雨、友達のやさしさ

 4月19日 穀物を潤す春の雨が降る頃。農耕の準備が整う。移動教室があっても松葉杖で移動できるようになった。その際に問題は、2本の松葉杖だと階段があぶないので1本だれかが補助する必要がある。それから移動教室の際の、教科書などの荷物の問題である。

 しかし、当たり前のように友達が何人もわちゃわちゃと、補助をかってでてくれるのである。こんなにも人にわかりやすく助けてもらえる経験というのは、人生の中でそうないものじゃないかしら?と思う。この子は恵まれているなーと思ったのであった。

立夏、車椅子で行きやすい映画館は日比谷の東宝である

 立夏 5月5日 夏の始まり。気温が上がり、生命が活発に。

2人でつくってきた冒険物語が完結する。物語を息子が考えて私が絵を書いて合作ですすめてきたが、それがとうとう完成する。GWはマイクラの映画を見に行きたい、やっと映画館までいけるようになったのである。

 しかしまだ車椅子。公共交通機関をつかって、どこの映画館が駅からのアクセス、エレベーター、いろんな事情で都合がいいのか?を調べ、自分が見に行った経験からおそらく日比谷だろう、と日比谷の東宝シネマへ。

 このアイデアは功を奏し正解であった。ほぼ駅の真上の映画館である。B級なマイクラに爆笑、そして涙し立夏を超えた。

満ち満ちて小満、再び立ち歩く

 小満 5月20日 万物が次第に満ち始める時期。麦の穂が育つ。

日々の流れ、季節の巡りと共に、わたし達は生きている。力に満ち満ちて、自分の脚で再び立ちあがり歩く。もちろんまだ走ったりは出来ず、おっかなびっくりであるが、もうキャスターチェアは必要ない。自分の脚で歩いてトイレもいく。

この期間に、2人でドラクエ3リメイクを80時間、レベル80まであげる。ドラクエ11Sを100時間、レベル99で、失われし時の災厄と怨念がまだ倒せない。

「背が伸びちゃって、ママのこんなところまで来ちゃったね」と背比べをされた。今日こうして、子どもが立ち上がった日のことをきっと私は一生忘れない良い思い出です。